先日、お客様に勧められて『ヤクザと家族 The Family』という映画を観てきました。
主演は綾野剛さんと舘ひろしさん。
ストーリーを簡単に説明すると、
父親を覚せい剤で失った山本賢治(綾野剛)はある日、父親に覚せい剤を売っていたヤクザを見つけ覚せい剤と売上金を強奪する。
しかし報復に現れたヤクザたちに拉致され、絶体絶命に追い込まれる。そんな彼を助けてくれたのは柴咲組のヤクザ柴咲博(舘ひろし)だった。
身寄りのない賢治は義理と人情を信条とする柴咲にほれ込み自身も柴咲組のヤクザとなる。
賢治はやがてヤクザとして頭角を現し、肩で風を切って街を歩くようになるが、時代の大きな流れはやがてヤクザの存在を押しつぶしていくのであった ―
タイトルに『The Family』とありますが、これは柴咲組の家族愛と賢治自身の家族愛の二つの意味合いが含まれています。
ヤクザ映画と言えば抗争の血なまぐさいシーンと浮かばれないストーリーが定番ですが、この映画の主眼はそこではなく、時の流れによってヤクザという存在がどう変わってきたのか ということと、現代における“家族”という言葉の持つ重みです。
綾野剛さんのキレキレかつ繊細な演技と、舘ひろしさんの大きく強い父親愛が心に深く染み入る、とても素晴らしい作品でした。
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この作品、実は舞台が静岡。ロケ地のほとんどが沼津、富士、裾野なんですね。
プロローグとエピローグの重要なシーンは沼津の多比港です。
賢治がヤクザに追われるシーンは沼津の商店街です。
作中に何度も流れる工場から煙が吐き出されるシーンは富士市の鈴川エネルギーセンターです。
作品冒頭から『なんかどこかで見たことある場所だな…』って思って調べたらロケ地は静岡だと分かって、作品に余計愛着が湧きましたね。
更に、賢治に憧れ慕う子供がいるのですが、この役を沼津出身の磯村勇斗さんが演じていて、これがまた抜群の存在感を出しているんですよ。
個人的にはこれから磯村さんの出演作品を追ってみたいと思いました。
「ヤクザ映画はちょっと…」と思われている方にも是非お勧めしたい。
とってもとっても素敵な映画でした。観てよかった。